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学校の屋上というものは、世間で不良と呼ばれるアウトローたちの溜まり場になりやすい。ここ正道館高校もその例に漏れず休み時間になるとゾロゾロと風体の悪い少年たちが集まってくる。 ある者は煙草をふかし、ある者は仲間とくだらないことをダベり、またある者は些細なことから殴り合いの喧嘩をし。 いずれにせよ、若者たちが持て余す感情を吐き出し合うレクリエーションの場。休み時間が過ぎても素直に教室に戻るのはその半数でしかない。彼らにとっては授業よりもこちらの方が大事なのだ。 坂本も残り組の一人だ。学校の授業が実社会でどれだけ役に立つのかという懐疑的哲学的見地からボイコットを決め込んだと言うよりは、単に面倒だからに過ぎない。気質の荒い正道館高校のメンバーの中にあって坂本は珍しく穏やかなタイプだった。普段から仲間と共に騒ぐよりは一歩引いて見守っていることが多い。今も馬鹿騒ぎする仲間たちを後目に、一人フェンスに寄りかかって空を見上げていた。 (ああ、いー天気だなあ。) 抜けるような秋の青空。雲一つない蒼茫たる大空は魂ごと持っていかれそうな吸引力を有している。ボーッと天を見上げていた坂本の肩を、突然誰かが乱暴に掴んだ。 「おいっ」 「あぁ?」 葛西だった。この正道館高校の頭を張り、東京四天王の一人に数えられている男。そして坂本の親友というポジションをずっと占め続けている男でもある。その葛西が、なぜか険しい表情で坂本を睨んでいた。 「何だ、葛西?肩痛いんだけど?」 指が食い込むほど強く掴まれた肩。 「坂本、今何を見ていた?」 「何って・・・、空だけど・・・?」 葛西が何に機嫌を悪くしているのか坂本にはわからなかった。 この葛西は最近までギラギラとした、危険なほど鋭い雰囲気を纏った男だった。誰彼構わず傷付ける、不安に苛まれる子供のように余裕のない男。 それが、帝拳高校の前田とやりあい、敗北を喫してからは何かが吹っ切れたかのように変わり始めた。相変わらず気性が荒く喧嘩っ早いが、どこか度量のようなものを感じさせるようになった。坂本はその変化を喜ばしく思っていたのだ。それだけに、久々に見せる険しい表情は坂本を驚かせた。 「そんな陶酔したようなツラで空なんか見るんじゃねえ。」 「陶酔って、そんな・・・。」 「どうせ見るんなら俺を見てろ。」 「はあ?」 何を言ってるんだ、この男は・・・。坂本は呆れたように葛西を見た。もしや何らかの冗談かとも思ったが、真剣そのものの目はそんな期待を一刀両断にする。絶句する坂本を後目に葛西はさらに続けた。 「てめえは俺のモンなんだから俺だけ見てりゃいい。」 あまりの言葉に、坂本はガックリと肩を落とした。 何たる傲慢。親友をモノ扱いするとは何事か。 言いたいことは山ほどあったが、一片の躊躇もなく断言する葛西相手では反論する気力も湧かなかった。 (待てよ・・・。てことは、こいつは今空に嫉妬してたのか・・・?) 自分が空に心を奪われていたことに腹を立てていたのだとしたら、何とも可愛い話ではないか。そう考えると坂本は妙に嬉しいような可笑しいような気分になってきた。チラリとその表情を窺えば、葛西はやはり不機嫌そうな顔をして坂本を見ていた。堪えきれなくて軽く吹き出してしまう。 「ククク!・・・わかったよ、おまえだけ見てるさ。」 そう言って、肩を掴む葛西の手に己の手をそっと重ね合わせた。 「それでいい。」 葛西は煙草の煙を吐き出しながら言った。どこか照れているような気配が漂う。 自分の存在を誰かから求められるということは幸せなことだ。特に、その誰かが自分も求めている人物なら。坂本はジワジワと滲み出してくるような幸福感を噛み締めた。 ・・・もう、あの頃には戻らない・・・。
「・・・またやってるよ、あの二人。いい加減にしてほしいよな。」 葛西と坂本のイチャイチャぶりに当てられている周りのものたちはげんなりとして言った・・・。 ---------------------------------------------------------------- うわああああ!!!ありがとうございます世希様!! もうもうこのラブラブっぷりが大好きです!! 自分のモノ扱いする葛西が素敵です!!傲慢な葛西って大好き・・・・!!(ウットリ) ああこのラブどもめ!周りの人になりたい!イチャイチャぷりにあてられたい!! 世希様、本当にありがとうございました!! |